お昼のおやつタイムももうおしまい。リンディさんはユーノやクロノたちを連れて、じいちゃん
は猫姉妹と一緒に、それぞれ帰る運びになった。たいへん名残惜しい。

「あれ。なのははまだ残るのか」
「うん、もうちょっと。ヴィータちゃん、後で五目並べやろう?」
「五目あんかけチャーハンと申したか。これは作らざるを得ない」
「誰もそんなこと言ってないよ……」

 もうちょい残っていくことにしたなのはであった。まぁどうやって遊ぶかはさておいて、帰還の
準備を進める管理局関係者一行の手伝いをする。荷物運びとか。

「あ。そうだ。俺のコアの解析、面白い結果が出たら教えて欲しいんですけれども。やっぱ機密?」
「いや、大丈夫だ。提供者本人だし、何か判ったら連絡するよ」
「治療系の能力があったのかもしれないね。実際どうなんだろう?」
「むしろ病原菌の類なんじゃないかと僕は思う」
「オリーシュが原核生物に分類されるかも知れない件」

 割と仲良く話をした男三人、けっこう親交が深まった感がある。オリーシュは超暇してるのに対
して二人ともなかなか忙しいので、時間ができたら連絡しようと約束。また会って遊ぼうというこ
とになった。機会があったら、こちらから遊びに行くとも。

「あっ。ユーノくん、ユーノくんっ。わたしも、時間できたら連絡ちょうだい?」
「まずアリサとすずかに魔法バレすんのが先じゃね? 全員集まるとユーノが人間になれん」
「あっ……う、うん。そうだね……」
「あ、あはは……そ、そっちの方が、僕も助かる、かな」

 荷物運びが終わってからは、そんな感じに今後について話してました。次こうして集まれる機会
が、いつになるかわからないので。

「あれ? はやてちゃんは?」

 気づいたなのはがきょろきょろと見回した。はやてはちょうど、別な部屋でじいちゃんと話して
いるところでした。

「魔法の入門と将来の進路、よく考えて決めるんだよって言ってるんじゃないかな」

 ユーノが指摘したのはだいたい正解だったりする。

「じいちゃん本心言わないけど、本当は静かに過ごしてほしいんじゃないかなぁ。闘ったりせずに」
「え……どうしてそう思うの?」
「なんとなく。入門書の中に戦闘魔法の記述少なかった、ってぬこたちが言ってたし」

 昨日魔法の本を渡していたじっちゃんだけど、内心はやっぱしそんな感じで心配しているらしか
った。

「私もいつか、考えないとなぁ」
「なのはは目の前の社会のテストの方が先じゃね」

 ぺけぺけ叩かれた。

「いいじゃん中学入ってからで。早いうちに即決すると、クロノみたく堅物になるよ」
「うるさいな」

 どすんと蹴られた。

「……しかしまぁ、今回の一番の収穫は、あの二人の話をいろいろ聞けたことかな」
「背中にガムテープはやってみるべき。あれは本当に半泣きだった」

 クロノは何やら楽しみそうにしていた。どうやら猫姉妹とは仲良くやっていけそうである。

「今回はあまりフェイトと話さなかったから、次はそちらを意識してみようと思います」
「きっ、気をつけて、フェイトちゃん! 先手取られたら、あっという間に取り込まれちゃうよ!」
「えっ……と、とり……?」

 なのはが俺の悪評を吐きやがる。あとでこいつのコーヒーに、ガムシロップと偽って水溶き片栗
粉を混ぜてやることに決めるのだった。





 なのは以外のみんなが帰ったあと、ぽへーっとしながらこたつ周辺でぬくぬくする。

「そう言えば、バイトももう条件が終了ですなぁ」

 ふと思いついたので、向かいのはやてに言ってみる。

「バイト? なんの?」
「ホームヘルパー。足が治ってきたようですので」
「ああ……そんなこともあったなぁ」

 なつかしそうな顔をするはやて。横からなのはが訊いてくるので、軽く説明してやった。

「じゃあ延長やな」
「了承」

 交渉が成立し、戦力外通告は免れた。

「あやうく野良オリーシュになってしまうところでした」
「道に落ちていても誰も拾ってくれないだろうな」
「そんなバカな……ほらあれ、ほねつきにく。ほねつきにく一個でついて行きますけれども」
「チョコレート一枚だったような」
「タンポポの葉っぱって聞きましたけど」
「むしろまもののエサで十分だろ」

 あまりにも雑食過ぎて、自分の生態がわからなくなってきた。

「もうヒトとは違う種族なんじゃね?」
「ヒト科ヒト属のオリー種と申したか」

 とっさに切り返したらすっごい受けたらしく、聞いてたみんなが口を手で押さえて、コーヒーを
ぼたぼた垂らしはじめた。ばっちいのでティッシュを持ってくる。

「なのははもう一晩泊って生物の勉強していこうか」
「ううっうううるさいなぁあ!」

 笑いどころがわからなかったらしく、本棚から図鑑を引っ張り出してきて急いでめくってるなの
はだった。ほっぺた赤かった。

「よーやく通常営業にもどったな」

 ヴィータがこたつの布団からもぞもぞと顔をだして、まったりした雰囲気でそう言った。

「ヴィータが枕営業と申したか」
「ぶっ殺す」

 まったりした雰囲気から一転、すごい形相で追い回された。死ぬかと思った。




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