= 拍手お礼不定期連載 =

キャロと愉快な仲間たち 2



名前を教え合って自己紹介していると、子供にはもう遅い時間。
キャロは起きようと頑張ってたみたいだけど、実際かなり眠そう
にしてた。なのでその日はとっとと寝て、翌日の移動に備える。
そして、翌朝。二人とも割と早く起床したので、とにかくまずは
朝ごはん。ふくろからパンを出してキャロたちと分けあう。

「そ、そんなっ……そんな、い、いただいてばっかりで!」
「大丈夫。たくさんあるから。ほら」

ふくろから次々と食糧を出すと、キャロは驚愕の表情になった。
驚くのも無理ないよなぁ。たくさん入るし、どれだけ入れても個
人で運べる重量だし。俺はどうぐやのおじさんにゆずってもらっ
たけど、歴代の勇者はどこで拾ってきたんだろう。

「ベーコンあるよ。食う?」
「きゅー!」
「すみません、すみませんっ、いつか、きっとお返しします!」
「じゃあ、今返して貰おう。フリード、吐き出せ」
「きゅる!?」

 冗談で言ったつもりだったのだがキャロはおろか、フリードリ
ヒまで困惑してしまった。どうやって吐こうかとオロオロしはじ
めたので、取り敢えず吐かなくていいよーと言ってあげる。

「改めまして、おはようございます。おれの名はペイジ」
「えっ……ええ? その、昨日はあの」
「訓練されたオリ主には名前が複数あるんだ」
「……?」

 適当にキャロで遊びながら、あぐあぐとパンを食す。戸惑いな
がらも、キャロも一緒になってかじりはじめた。単なる菓子パン
だけど、朝のエネルギー補給にはこれで十分かな。

「さて。どうしよっか、とりあえず進む?」
「あ……それなら、フリードっ、お願い」

 キャロが言うと、ちっこくて白いのが宙に舞い上がる。キャロ
に聞くと、ふもとへの方角を空から教えてくれるらしい。

「賢い恐竜がいたものだなあ」
「はい! 私が、卵から育てたんですよっ!」
「キャロが生んだとか! 卵を生む人間は初めて見たぜ!」
「違いますよっ!」

 原作の設定がそれっていくらなんでもヤバいだろと思ったが、
キャロ自身によって否定された。あーよかった、と心底思った。

「キメラのつばさとか持ってくればよかったなぁ」
「あの……その袋の中、何が入ってるんですか?」
「食糧たくさん、ねぶくろとテントが99個」
「どっ、どうやって入れてるんですかっ!?」
「だよね。これじゃドラクエじゃなくてFFだよね」

 キャロは怪訝そうな顔をした。言ってる言葉が通じてないね。

「ところで、いいの? フリード、何か鳥みたいなのが来てるよ」
「え? ……え、ええっ!?」

 ふと見上げてみるとそこには、プテラノドンみたいなのに足で
掴まれており、身動きが取れなくなっているフリードリヒの姿が!

「きゅるぅうー!」
「ふっ、フリード!」
「もう一匹だけでで飛ばしたりなんかしないよ」
「いっ、言ってる場合じゃないです! はははやく降ろさないとっ」
「あ、飛んでった」
「きゃあー―――っ!?」

 珍しく大声を上げたキャロを面白いなーと思いながら、連れ去
られたフリードリヒと恐竜の後を追いかけるのだった。

「食われるのかな。しっぽから食べたらうまいかも」
「そういうこと言わないでくださいっ!」

 マジ泣き直前のキャロだった。



(続く)



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