= 拍手お礼不定期連載 =

キャロと愉快な仲間たち 1



ふらりと次元世界を旅行していた俺は、知らない山岳地帯に迷いこみ、
恐竜に玉乗りを仕込みそうで仕込めず、疲れ果てていますこんばんは。

「ここ何処だろ。地図持ってない。キャロ、ねぇキャロ。地図持ってる?」
「……落としちゃいました……」
「きゅる……」

恐竜たちに追われてからかなり時間が経ち、日は既に傾いている。
麓への道がどうにもわからん。今日は野宿になるのかしら。

「はい」
「……なんですか? これ……」

ふくろの中から余分な寝袋を渡したら、奇異の視線で見られた。
知らないらしいので、懇切丁寧に解説することにする。

「みのむし変身セット。このワイヤーで木の枝に吊るし、中に入る。すると」
「すると?」
「餌と間違えられて、鳥につつかれること請け合い。コツコツコツって」
「い、痛そうです……」

出鱈目を言ったところ、キャロは苦悶に顔を歪めた。想像力が豊かなようだ。

「冗談はともかく。何か、ごめんね。巻き込んじゃって」

キャロが近くの岩に腰を下ろし、疲労困憊と言った様子でうなだれるのを
見ると、さすがに罪悪感が湧いてきた。ここは素直に謝っておく。すると、
キャロは慌てて両手を横に振った。いえそんな、とか言って恐縮している。

「お詫びに、このとんがり帽子をあげよう。魔法使いっぽいぞ! 実は召喚士だけど!」
「どっ……ど、どうして、ご存じなんですかっ!?」
「いや、そんな知識が。竜とか、なんだっけ。じら……地雷? 物騒だな!」

曖昧な原作知識で、誤魔化しを試みる。キャロは案の定意味不明な顔をしたので、
そのままどうにかこうにかして煙に巻くことに成功する。

「あの……おっ、お名前は……?」
「人に名乗るときは自分から名乗れ!」
「あ……すっ、すみません! わたし、キャロ・ル・……」
「お前の名なんて聞きたくねぇ!」
「どっ、どっちなんですかっ!?」

適当にノリで受け答えしていたら、とても困惑されたので反省する。

「その……キャロ・ル・ルシエです。こっちが、フリードリヒ」
「きゅるる」

ちっこい恐竜はぺこりと頭を下げた。賢いトカゲがいるものだなぁ。

「そ、それで、その……」

見ると、キャロは名前を聞きたそうにしていた。ので、話してあげることにする。

「我輩はヒトである。名前はまだない」
「そんなはずないです!」
「ナナシノ・ビッパーと申します。よろしく」
「あ、はい。よろし……なっ、名前に名無しって入ってますよっ!」
「ばれたか」

オリーシュとだけ教えておきました。



(続く)



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